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変化とかがやき――よしもとばなな『アムリタ』

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ByMari

ここ数日、よしもとばなな『アムリタ』を読んでいました。

上巻から下巻まで、結構なペースで読んでいた気がします。


読みながら、私が求めていたものってなんだろうって思いました。


主人公の朔美が、性格や気質がまるっきり同じというわけではないけれど、

今の私に似ている気がしました。



朔美は不思議な夢をたくさんみるのですが、現実の中にすら不思議な出来事が沢山起こる。
そんな日常。


夢のリアリティと、現実のリアリティが、同じなんです。


登場人物たちのそれぞれが、不思議な手触りで存在感を持って、私に迫ってきました。


慰めや励ましがほしくて読んだわけじゃないんだけれども、
朔美や、弟の由夫くん、恋人の竜一郎みたいな人たちが、私の近くにいたらなあ~と素直に思った。


主人公の朔美は、変わっていくことを恐れない女性です。

そして何があっても、そこに好奇心やきらめきを見つけられる女性です。

ものすごい勇気だと思います。でもそれを自然にやっている。



そして、完全というわけではないけれど、周囲の人々もそんな朔美を彼らなりに愛し、信頼し、理解している。

ちぐはぐだけど、やわらかに調和している環境。


影がまったくないわけではない。
朔美にも、朔美の家族や恋人にも、ひどい出来事や孤独、つらいこともある。


そんな光と影の中で、
まるで冷たく澄んだ川を泳ぐ魚のように、
流れに身を任せたり、はむかったりしながら、毎日を生きている。



「君が、どんどん変化していくのを見ていると、人間っていうものは本当に、いれものなんだ、と思うんだ。
いれものなだけで、中身はどうにでもなるって。別人にもなるんだって。
道を歩いている誰かと、基本的には何も変わりないんだ。
運命の成り行きで、君はつぎつぎ新しいものを中に入れていくけど、
その変化するいれものにすぎない君という人間の底の底のほうに、何だか『朔美』っていう感じのものがあって、
たぶんそれが魂っていうものだと思うんだけど、
それだけがなぜか変わらなくて、いつもそこにあって、すべてを受け入れたり、楽しもうとしている。
それは君が死ぬまでそこにあると思うと、何だかいじらしいような、苦しいような気がして、
いてもたってもいられなくなるんだ。」



記憶を取り戻した朔美への、竜一郎の台詞。

まるで私自身にそう言われているような、感動を覚えた。

変化することを、必ずしも、人は望まない。

周囲も、自分自身も。

だけど、
私は私の変化に対して、喜びや感動を覚える

やっと「生きてる」って感じがする。

「やっと生き始めた」って。

ちょっと悲しくなった時、寂しくなった時、
これからは『アムリタ』のことを思いだそうとおもう
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