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プロフェッショナル 仕事の流儀 ~五嶋みどりさん~

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昨夜、テレビをつけていて、
たまたま、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』がやっていて、
五嶋みどりさんが、取り上げられていた。

最初はなんとなくで見ていたけど、感じるものの多い内容だった。


五嶋さんは、幼いころから才能を発揮して、
世界的に有名なヴァイオリニストで、今でも最前線の演奏家として活躍している。

才能が評価され、絶賛される日々だけど、
そのあまりの忙しさに、
十代後半か、二十代前半のとき、
うつ病になってしまってから、人生観が変わったみたいなお話だった。

23歳で、大学に入り直し、
クラシックのことを全然知らない友人たちに交じって勉強する時間は、
かけがえのない、豊かな経験になり、
その後の彼女の人生に、大きなヒントを与えたようだ。

彼女が、ボランティアで教えている田舎町の高校生に語っていた言葉が、印象的だった。

音楽だけではなく、
なにを学ぼうと、
全て学んだことは、無駄はありません。

バイオリンを弾くというのは、
ただ楽譜通りに弾くとか、リズムを刻むとか、メロディーを引けばいいわけではありません。

その人のすべてが、その音に、音楽に出ます。

それが音楽ってことです、みたいに云っていた。

「素直」ってことも、とても大切にしていた。

番組を見ていて、
どんどん引き込まれて、
進めば進むほど、
彼女のふしぎな空気に、魅了された。

言葉にするなら、
静謐で清浄な、無駄のない、洗練された感じ。

素朴なんだけど、
神さびた、
清潔に整えられた、白木造りの神社をみるような。

いぶし銀みたいな。



プロの中でも、世界最高の評価を与えられている彼女が、
アメリカの片田舎の高校生に、ボランティアで音楽を教えていたり、
新たな挑戦として、
日本で、障害をもった高校生と一緒に演奏会を開くという活動を始めたりしている。

そういうことにも、
ものすごく厚みのある、奥の深い、何かを感じた。

正直、ハンディキャップのある彼らとの練習風景は、
大変そうだった。

ハンディキャップゆえに、音やリズムが合えば、まだいいほうみたいなレベル。

そんな彼らに、
五嶋さんふくめのプロの演奏家たち数人が、音を、合わせていくシーンもあった。

合奏後、
生徒たちの感想は、素直な喜びにあふれていて、
音楽をすること、楽器を演奏する単純な喜びや楽しみがあふれていた。

それに微笑む、五嶋さん。

そして、練習後も、一人一人に丁寧に声をかけていく。




音楽評論家が、
彼らとの演奏会の前に、五嶋さんにインタビューする際。

「クラシックの愛好家は、クオリティの高さに惹かれる場合が多いので、
今回の試みはどうなんですか?」

みたいな質問をしていた。

それに応える、五嶋さんの言葉も、私としてはすごく感動した。

「そもそも音楽とはなにか。
この活動が、それをみなさんと考える、よい機会となるといいなと思ってます」

支援や援助活動についても、
彼女の中で、すごく考え抜いたうえに、
音楽とはなにか、を追求していった結果の、
新たな挑戦、仕事として、やっているのだな~とわかる答えだった。

ただ「良いこと」をするのに、
なんの説明も理由も、いらない。

相手も喜んでくれて、楽しんでくれて、
自分も楽しめて、喜びを感じられれば、それでいいのだ。

でも、人によっては、
ただ、それだけでも、説明や理由を必要としたり、
うがった見方をする人もいる。

目立てば目立つほど、攻撃がされる。

五嶋さんのように有名で、成功している人ほど、そうだと思う。

そんな人が、堂々と、
自分が思ったことを、良いと思ったことをやる勇気、
そのチャレンジ精神に、感動した。

いくら音楽の世界では、一流でも、
支援という点、
ハンディキャップのある人の指導という点では、
五嶋さんだって、初心者なはずなわけで。

失敗だってあるかもしれない。

でも、やる。

その勇気。

ただ、成功するとか、有名になるとか、
プロの演奏家同士のなかで名演を競い合うとか、
音楽史に伝説、記録を残すとか、
音楽愛好家の人たちに高く評価されることを、追求するとか。

もちろん、そういう生き方だけで、終わってもいいはず。

でも、たぶん、
五嶋さんはそれでは、満足できない人だったのだろう。

人としての豊かさ、
もっと、
さらに、ふかく音楽を通して、人と関わる道、
自分を生かす道を追求しようと思ったんだろうな。

そんな風に感じた。

音楽の神さまは、こういう人を、愛するんだろうな、と思ったりした。

五嶋さんのドキュメンタリーをみて、
複眼的ないろんな視点で、
とても励まされた。


ただ、技術や、芸の質が、高ければいいのか。

良いものを作れば、それでいいのか。

「芸術家、イコール、人格者」である必要はない、みたいな考え方もある。

すぐれた芸術作品を生み出せれば、
その人の人生や生き方、人格が破たんしていようが、
関係ないという考え方。

でも、あらためて思った。

人格も大切だと思う。

技術や、質が高いだけではなく、
もっともっと追究していくと、
生き方そのもの、その人の人生そのものが、
その人の作る物に出るのだと思う。

わたしは、それを信じる。



辻井信行の演奏も好き。
上手な人の演奏って、音のきらめきが違う。



フジコ・ヘミングの演奏も、好き。
音につやめきや、かげろいとか、いろんなのが見えてくる。


五嶋みどりさんのCD



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4 Comments

Tomoko  

はじめまして

Mariさん、はじめまして。Tomokoといいます。
最近、ブログにオジャマするようになって、
映画や本なども見たくなるようなものいっぱいです。
今回のプロフェッショナルは見逃しちゃったのですが、
辻井伸行くんやフジコ・ヘミングも私大好きです。
本当に演奏にも人柄がにじみ出ているなぁと思います。
お二人のドキュメントとかも何回か見てますが、
純粋の塊みたいな、もう存在そのものに癒されますよね。
さっきコメントエラーになってしまい、ダブリだったらごめんなさい。
いろんな部分でほんとそうだなぁって思って、オジャマしました(^^)

2014/11/04 (Tue) 20:55 | EDIT | REPLY |   

Mari  

Re: はじめまして

Tamokoさん、はじめまして。
嬉しいコメントありがとうございました(^^)。

わたしも映画や本が好きなので、これからもちょこちょこアップしていきます♪。

辻井さんとフジコヘミング、なんか通じるものありますよね。
ぜんぜん個性違うけど・・・
そうそう、「純粋の塊!」わかる気がします!!
きっとその人の、心や人生が、にじみでているんですよね。
わたしも大好きです!

五嶋さん、これまで、わたしは一般的な知識しかなかったのですが、
あらためて、興味をもち、演奏を聴いてみたいな~と思いました。
これから応援しようと思ってます。

フジコ・ヘミングの演奏会、一昨年に初めて行きました。
生で音を聴いて、感動しました。
彼女の本も好きで、何冊か持ってます。
言葉も、絵も、とても素敵ですよね。
言葉や音に、エネルギーがあるって、こういうことだなと思います。

2014/11/05 (Wed) 19:44 | EDIT | REPLY |   

Tomoko  

No title

Mariさん、こんばんはー。
またもわかるわかるーと頷いております(^^)

私も以前フジコさんや辻井伸行くんの演奏会行ったことあって
生はやっぱりいいですよね!
またオジャマしまーす♪

2014/11/05 (Wed) 21:23 | EDIT | REPLY |   

Mari  

おお!

おお!
Tomokoさんも、フジコ・ヘミングや辻井伸行さんの演奏会に行ったことあるんですね!
なんか、シンパシー感じます(^^)。
生だとさらに感動しますよね。

いろいろな素敵な人、エネルギー、作品にたくさんふれると、
自分もとても元気になれますよね。
潤いがチャージできるかんじ。

これからも宜しくお願いします~(^^)/

2014/11/06 (Thu) 07:39 | EDIT | REPLY |   

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